なぜ撮影現場は、ある日突然崩れるのか― カメラマンや着付師の“腕”の問題ではない

撮影現場のトラブルは、たいてい「ある日突然」起きます。

前日まで問題なく回っていたのに、急に人が足りなくなったり、品質のばらつきが表面化したり、クレーム対応で現場が止まったりする。

ただ、実際にはそれらは突発的な事故ではありません。

多くの場合、ずっと前から小さな兆候は出ています。

よくある、静かなトラブル

・繁忙期になると、毎回人手が足りなくなる

・急な欠員が出るたび、現場責任者が走り回る

・同じ内容なのに、撮影日によって仕上がりが違う

・クレーム時、誰が最終判断をするのか曖昧になる

これらは珍しい話ではありません。

むしろ、多くの撮影現場で「当たり前」になっています。

そして多くの場合、こうした問題は 個人のスキルや姿勢の話 に置き換えられます。

「今回は運が悪かった」

「たまたま経験の浅い人だった」

「忙しい時期だから仕方ない」

しかし、本当にそうでしょうか。

問題は“人”ではなく、“運用”にある技術が高く、真面目な人材でも、現場トラブルは起きます。

逆に言えば、どれだけ腕のいい人を集めても、運用が曖昧なままでは、同じ問題は必ず再発します。

・役割分担が明確でない

・判断基準が言語化されていない

・引き継ぎが口頭ベース

・トラブル時の責任ラインが共有されていない

こうした状態では、現場は「人に依存する構造」になります。

その構造は、人数が増えるほど、拠点が増えるほど、静かに歪みを広げていきます。

本部から見えにくい、いくつかの盲点現場が日常的に回っている時ほど、問題は見えにくくなります。

・長くいるスタッフが、無意識に穴を埋めている

・現場ごとのローカルルールが増殖している

・「あの人がいれば大丈夫」で成立してしまっている

一見うまく回っているように見えても、それは仕組みではなく、個人の善意で保たれている状態です。

そして、その人が抜けた瞬間に、現場は一気に不安定になります。

「人を足す」だけでは、解決しない理由

人手不足が起きると、まず考えられるのは「人を増やすこと」です。

もちろん、それが必要な場面もあります。

ただし、運用が整理されていないまま人を足すと、

管理コストと不確定要素が増えるだけです。

・説明に時間がかかる

・現場判断がブレる

・責任の所在が曖昧になる

結果として、

現場の負担はむしろ重くなる

撮影現場を安定させるために必要なもの

撮影現場を安定させるために必要なのは、特別な才能や、限られたエース人材ではありません。

必要なのは、

・役割の明確化

・判断基準の共有

・例外時の対応ルール

・責任ラインの整理

つまり、現場を前提にした設計です。

人が変わっても、環境が変わっても、一定の品質で回り続ける状態。

それを支えるのは、個人の頑張りではなく、構造です。

撮影現場のトラブルは、決して珍しい話ではありません。

だからこそ、「誰が悪いか」ではなく、「どこが属人化しているか」を一度、冷静に見直してみる価値はあると思います。

撮影現場を安定させるために必要なのは、新しい人材よりも、新しい“設計”なのかもしれません。

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細谷 聡|note

撮影現場で培った営業力と企画力をもとに、全国でカメラマン・ヘアメイク・着付師の体制設計や現場運用を行っています。 25年にわたる撮影実務の経験から、属人化しない現…