カメラマンに必要なのは“最適な1枚”──誰のための撮影かを突きつけられる現場

先日、Threadsにこんな投稿をしました。


「新人カメラマンに店舗撮影を依頼したら、ライティングを何度も組み直し、角度を変えて徹底的に撮影していた。
仕上がりは素晴らしかったが、クライアントからは“遅い”と指摘された。
本当に求められていたのは“最高のクオリティ”ではなく、“スピードと安定”だった。」

この投稿には、多くのコメントが寄せられました。
「あるあるですね」という共感の声から、「プロは速くて上手いのが当たり前」とする厳しい意見まで。
それだけこのテーマが、現場に立つ人にとってリアルな問題だということを実感しました。

実際、このエピソードのカメラマンは、そのギャップに苦しみ、やがて辞めてしまいました。
けれど私自身にとっても、この出来事は「適正クオリティとは何か?」を考えさせられる大きな経験となったのです。

現場のリアル

現場では「最高の1枚」が必ずしも評価されるわけではありません。

別の現場での出来事です。
ホテルの宴会場で開宴前に100名ほどを撮影する案件で、私がカメラマンに伝えたのは「クリップオンでテンポよく撮っていく」という指示でした。
しかし当日、カメラマンはジェネレーターやソフトボックスを持ち込み、本格的なライティングで1人に5分以上を費やしてしまいました。
結果、撮影は開宴までに終わらず、私は2度とそのカメラマンに仕事を依頼することはありませんでした。

このとき重要だったのは「最高の一枚」ではなく、「全員を時間内に撮る」こと。
つまり、現場で求められるのは常に“適正クオリティ”です。


適正クオリティの難しさ

では「適正クオリティ」とは何でしょうか。
私自身の経験を振り返ると、次の3つが重要だと感じています。

1. クライアントの意図を汲み取る力
求められているのが「作品」なのか「記録」なのか。ここを誤れば努力が無駄になる。
2. 翻訳力
言葉にしづらい要望やニュアンスを、写真に落とし込む力。
3. 切り替え力
「最高の1枚」を狙うときと「効率優先」に徹するとき。その切り替えを瞬時に判断する力。

この3つを兼ね備えてはじめて、プロとして信頼される仕事ができるのだと思います。

議論を通じて見えたこと

このテーマをSNSでシェアしたとき、多くの意見が寄せられました。
• 「上手いカメラマンは速い。速くて上手いがプロで、遅くて上手いは成立しない」
• 「クライアントが本当に欲しいのは“最高”ではなく、課題に即した“最適”」
• 「やりすぎも、磨けば武器になる。ただし現場ではそのさじ加減が難しい」
• 「クライアント以上のクオリティを出そうとするのは自己満足になりかねない」

どれも核心を突いた言葉であり、「適正クオリティの見極め」がいかに難しいかを改めて実感しました。

教訓

カメラマンにとって、最大の落とし穴は「自己満足」と「手抜き」の両極です。
やりすぎれば評価を落とし、手を抜けば信頼を失う。

だからこそ大切なのは、常に「誰のための撮影か?」を自分に問い続けること。
その問いを忘れない限り、現場の判断はブレにくくなります。

結論

カメラマンに求められるのは“ベスト”ではなく“最適”。
クライアントの期待と自分の表現欲求、そのギャップをどう埋めるかがプロとしての分岐点です。

私自身、この経験を通じて「適正クオリティを見極める力」こそが長く生き残るために不可欠だと痛感しました。

あなたなら、現場で“最適”をどう判断しますか?

フォローのご案内

もしこの記事が「少しでも自分に当てはまる」と思った方は、ぜひフォローしてみてください。

noteでは、カメラマンやフリーランスの方が、これからも仕事を続けていけるようなヒントを発信しています。

noteアカウント

細谷 聡|note

撮影現場で培った営業力と企画力をもとに、全国でカメラマン・ヘアメイク・着付師の体制設計や現場運用を行っています。 25年にわたる撮影実務の経験から、属人化しない現…